2015.6.19第4回 意匠調査その2
(響子)今回も前回に引き続いて意匠調査について宮川先生にレクチャーしてもらいます。宮川先生、よろしくお願いします。
(宮川)じゃあ、具体的に意匠調査の進め方をレクチャーするわね。響子ちゃん、このスマホケースかわいいでしょ。このスマホケースについて意匠調査をするとしたら、響子ちゃんはどうする?
(響子)え~っ!? いきなり実戦ですか~?
(宮川)そうよ。能力は実戦で磨かれるのよ!
私は一服してくるから、とりあえずできるところまでやってみて!
(響子)そんな~。・・・でも、自信ないけどやってみます・・・。
え~っと、まずはJプラを立ち上げてっと。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
左のメニューを「意匠を探す」にして、入力エリアに「スマホケース」って入力!
検索ボタンをポチッとな!
え~っ!? 0件~? そんなはずないのにな~?
宮川センセ~・・・・まだ戻ってない・・・・。
(本間)高橋さん、どうしたの?
(響子)本間先生、Jプラの「意匠を探す」で「スマホケース」って入れても出てこないんです~。グスッ。
(本間)ああ、意匠調査ね。Jプラの最初の画面でまず当たりをつけるというのは悪くないね。でも、「スマホケース」じゃヒットしないと思うよ。
(響子)何でですか?
(本間)そこの入力エリアでは、「意匠に係る物品」の欄と「意匠に係る物品の説明」の欄に記載されている文章を検索できるんだけど、これらの項目には「スマホケース」のような略称とか俗称は普通書かないんだ。
書くとすれば「スマートフォンケース」や「スマートフォン用ケース」のような記載になるんだ。
これらの両方の記載を見たい場合は、入力エリアに「スマートフォン」と「スペース」と「ケース」って入力してごらん。
(響子)・・・入力して、ポチッとな! 先生~、大変です。1万件以上ヒットしました。
(本間)・・・入力エリアの横の「OR」のメニューを「AND」にしてごらん。
(響子)あ~っ!50件弱に減りました!これなら見れます!
「一覧表示」ボタンをポチッ。
出ました出ましたっ!。本当にスマホケースじゃなくて、「スマートフォン用ケース」なんですね。
「文献番号」をクリックすると、出ました。意匠分類が「H7-792」ってなってます。
(宮川)響子ちゃん、わかった~?
(響子)あっ、宮川先生! スマホケースは意匠に係る物品だと「スマートフォン用ケース」で、意匠分類は「H7-792」だということがわかりました。
(宮川)へ~。初めてにしちゃ上出来ね。
本間先生、手伝ったでしょ・・・。
(本間)ほんのちょっとヒントを出したぐらいですよ・・・。
(宮川)さて、一通り自力でやってみて多少はJプラのことがわかったと思うので、これからプロの検索の仕方を教えてあげるわね。
(響子)えっ? このやり方じゃだめなんですか?
(宮川)初心者ならそれで十分よ。でも、響子ちゃんはこれから調査のプロを目指すんだから、プロの技を身につけてね。
(響子)わかりましたっ!・・・・って、続きは次回ですね(汗)。
2015.6.10第3回 意匠調査その1
(響子)本間先生、今回の調査では、特許・実用新案の調査の他に意匠調査も含まれていますが、意匠調査ってどうやるんですか?
(本間)意匠調査については、宮川弁理士にレクチャーしてもらいましょう。宮川さん、よろしくお願いします。
(宮川)意匠調査のことならまかせてっ・・・て、本間先生、響子ちゃんはアニメっぽくて可愛らしいのに、なんで私はこんなテキトーな似顔絵なんですか?
しかも、顔だけ!
(本間)そっ、それは・・・諸般の事情というか、作者の都合というか・・・、
私も同じような似顔絵だし、いいんじゃない?
(響子)宮川先生、よろしくお願いしま~す。
(宮川)・・・なんか釈然としないな~。
まっ、でも気を取り直してっと。
意匠調査も、特許調査と同様に、侵害予防調査、登録無効調査、先行意匠調査という種類があります。内容は前回の特許調査のときとだいたい同じね。
それで、意匠調査全般に共通しているのは、調査対象の意匠と意匠公報に掲載されている意匠とが類似しているか類似していないかを判断することね。
(響子)・・・それって、見た目が似てるか似てないかってことですか?
(宮川)まあ、アバウトに言ったらそんな感じね。じゃあ、形が同じだけど一方が自動車、他方が自動車おもちゃだと類似する意匠と言えるかな?
(響子)え~っ?・・・形は同じなんですよね~。
う~んっと~(思い切って)類似しない!
(宮川)正解!(きっとあてずっぽね)
意匠は、物品が類似していなければ、意匠としても類似しません。
だから、物品が類似する範囲で調査を行うことが必要になります。
特許庁は、意匠調査がしやすいように、日本意匠分類という分類を定めています。この意匠分類で物品の類否を判断します。
実際に特許情報プラットフォーム、私たちは「Jプラ」って呼んでるけど、ここで検索するんだったら「日本意匠分類・Dターム検索」がお勧めよ。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/ishou/isdt/ISDT_GM201_Top.action
ここの検索式のところに調査対象の意匠分類を入力すれば、意匠調査ができるわ。
ここで「注目っ!」
意匠分類は、出願日が平成17年1月1日のものから「新分類」になって、それまでの「旧分類」とは分類が異なっているの。
どちらか一方だけ調査したんじゃ、調査漏れになっちゃうから気をつけてね。
実際の検索では、まず新分類を見つけて検索して、それから画面上の「現行→旧分類変換」ボタンをクリックして検索式に旧分類を呼び出し、再度検索を行います。
意匠調査の基本的な考え方と操作はこんなものね。
実際の検索のコツは、また次の機会に教えてあげるわ。
(響子)宮川先生っ! どうもありがとうございました!
2015.6.1第2回 特許調査の種類
こんにちは。「自称」パテントサーチマイスターの本間です。
今日は特許調査を希望するお客様との打合せがあり、高橋響子ちゃんもアシスタントとして打合せに参加しました。その打合せの後で・・・
(響子)お客様との打合せ、お疲れ様でした。
本間先生は打合せの中で、今回は侵害予防調査と、それから・・・、えーっと、ほにゃらら調査が必要って言ってましたけど、それって何ですか?
(本間)お客様には「侵害予防調査」と、「先行技術調査」が必要だって言ったんですよ。特許調査にはいろいろ種類があります。この際だから、高橋さんに簡単に説明しましょう。
(響子)ありがとうございま~す!
(本間)特許調査は、ざっくり分類すると以下のような分類になります。
(a)侵害予防調査
(b)特許性判断のための調査(出願前、審査請求前)
(c)先行技術調査
(d)特許(登録)無効調査
(a)侵害予防調査は、お客様が新製品を市場に投入する際に必要となる調査です。「お客様の製品が他社の特許権に抵触しないか」を確認するための調査です。
製品を市場に投入したはいいが、他社から特許権侵害で訴えられたというようなことがあると大変ですね。
特許権侵害は、侵害した人がたとえその特許を「知らなかった」場合でも、製品の生産ができなくなったり、製品を市場から回収しなければならなくなるおそれがあります。特許の正解は「知らなかった」では済まされない世界なのです。
(b)特許性判断のための調査(出願前、審査請求前)
特許出願は、特許庁による審査を経てはじめて特許になります。
審査では、特許出願に係る発明が、発明の新規性や進歩性を有しているか、判断されます。
この審査の結果(特許を受けることができるかできないか)は、特許性判断のための調査を行うことによって、高い確率で予測することができます。
この調査を行うことにより、例えば出願しようとする発明と同一の発明が記載された文献が発見されれば、出願をしないという選択も可能となり、無駄な特許出願が防止できます。
また、出願に係る発明に対する公知技術が明らかになるため、出願に係る発明と公知技術とのぎりぎりの境まで発明を広げることができ、強い権利を確立することにも役立ちます。
(c)先行技術調査
この調査は、自分が知りたい技術分野において、どのような出願がなされているか確認するための調査です。
自社の開発すべき製品の詳細が明らかになっていない状態で行われることも多く、その時点での他社の技術水準を把握したり、ヒントになるべき技術をピックアップすることにも利用されます。
(d)特許(登録)無効調査
特許は、自社にとっては強力な武器になりますが、一方で自社の製品に関係のある他社特許が発見された場合、特許は一転して脅威になります。
特許無効調査は、自社にとって障害となるおそれがある特許を排除するための調査です。
仮に、問題となる特許の出願日前に、その特許と同じ発明が記載されている公報が発見された場合、その特許発明は発明の新規性がないという理由で無効にすることができます。
(本間)その他にも、分類の仕方によっては「定期調査」なんて調査もあるけど、ざっとこんな感じかな。
(響子)へ~、特許調査にもいろいろあるんですね。先生は、どの調査が好きですか?
(本間)う~ん。どれが好きかって聞かれてもね~。強いて言えば特許無効調査かな?
特許を無効にするのは難しいことなんだが、調査でよい文献を見つけたときなんかは「やったー!」って叫びたくなるぐらいうれしいね。
(響子)先生は、普段特許を成立させる仕事をしているのに、特許を潰してうれしいなんて、なんか変ですね。
(本間)そうかもね。ははは・・・・。
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