2016.7.19サーチャーへの道 その1『特許公報の読み方』
(響子)サチコ先生ー、本間先生にブログのネタもらいに行こうと思ったんですけど、
気配を察知されたのか、どこかに行っちゃいました~
※(注)最近の本間先生
(宮川)あらそう・・・じゃ、響子ちゃんも特許調査のお手伝いができるように、少しずつ勉強してみる?
(響子)はい!頑張ります!
(宮川)じゃ、早速始めましょう♪
ところで響子ちゃん、明細書は読んだことある?
(響子)えっ・・・はぁ、見たことはありますけど、なんだか難しくてとっつきにくい感じです。
(宮川)そうよね。まぁ、普通は給与明細書?って思っちゃうかもね。
特許明細書は発明の公開に使われたり、特許審査を受けるための出願書類、という重要な役割もあります。
発明を公開する書類にはいくつかあって、単に「公報」と呼ばれたりするわね。
響子ちゃん、公報には色んな種類があるって知ってる?
(響子)うーんと、「公開特許公報」と「特許公報」は見たことがあります!
(宮川)よく見ていたわね!公開特許公報は、特許出願の出願日から1年6か月で発行され、多くの場合は出願時点の内容が掲載される公報です。公開日が2000年以前は、「特開平10-XXXXX」、2000年以降は、「特開2002-XXXXX」の形式の公報番号が付与されます。
特許公報は、審査を経て特許登録された後、速やかに発行される公報です。通し番号で「特許第XXXXX号」という形式の特許番号が付されます。
あと、これ以外では、国際出願に関する公報があって、これはPCTと呼ばれる、国際条約に基づいて国際出願された発明を掲載するもので、次の3つの種類があります。
① 国際公開公報(出願日から1年6か月後に、日本語または外国語)
② 公表公報(出願日から2年6か月後に、日本語)
③ 再公表公報(出願日から2年6か月後に、日本語)
(響子)ひえ~ 色々あるんですね~
(宮川)大丈夫よ、呼び方は違うけど、いずれも出願中の発明を公開するものなので、公開特許公報と同列に考えてOKです。ただ、国際出願の場合は、公報の発行日と、使用される言語が違うのが特徴です。
じゃ、公報の表紙から見てみようか。
(響子)うっ・・・やっぱりアレルギーが・・・
(宮川)落ち着いて!番号順に見ていけば分かるわよ。
① 公報種類
② 登録番号/公開番号
③ 公報発行日
④ 登録日/公開日
⑤ 特許分類の記載
ここには、FタームやIPCといった、特許庁等が定める技術分類コードが記載されます。
これについてはまたレクチャーするわね。
このコードは、出願された発明の内容に基づいて付与されていて、
分類コードを使って特定の技術分野の出願や特許を検索することができます。
⑥ 出願番号・出願日/公開番号・公開日
一つの出願は、登録されるまでに、原則として出願番号、公開番号、登録番号の3つの番号を持つことになります。公報にはこれらが記載されています。
⑦ 分割出願の記載
その出願が別の出願から分割された出願である場合は、親出願の出願番号等が記載されます。
⑧ 優先権主張番号・優先日
その出願が別の出願に基づく優先権を主張している場合、基礎となる出願と優先日が記載されます。
優先日は出願日より前の日で、特許性判断の基準となる重要な日付なので、見落とさないように注意しましょう。
⑨ 特許権者/出願人
⑩ 発明者
⑪ 最終頁に続く
これは、発明者の名前など、表紙に書ききれなかった事項は最終ページに記載されることになります。
⑫ 発明の名称
その発明の名称が記載されます。ただ、「発明の名称」はかなり大まかな記載になっていることが多く、発明の具体的な内容が表されているわけではないので注意してね。
(響子)zzz・・・・ はっ! よ、よく分かりました!(汗)
ところで、この、かっこ書きの2桁の数字は何ですか?
(宮川)(ま、確かに、最初は読んでると眠くなってしまうのよね・・・)
これは、INIコードっていう書誌的事項識別のための国際合意番号で、各国の言語や法制にかかわらず、特許文献の書誌的事項を識別することを目的として設けられているのよ。
言葉が分からない外国の公報を読む時に、INIDコードをもとに発明者の情報などを確認できて便利です。
(響子)なるほど~ ふぅ~ 字が小さくて辛いけど、何とかついて行けました!
(宮川)字が小さいってアナタ・・・ま、苦手意識を克服できてよかったわね。
(響子)次回は簡単な特許調査のやり方を勉強したいと思いまーす。
本間先生、引き続きファイトでーす!
2016.5.31教えて!サチコ先生 『外国意匠調査』
(宮川)ちょっとちょっと響子ちゃん、本間先生を見て! 魂が抜けちゃってるわ!
(響子)うわ~、なで肩っぷりが半端ないんですけど、大丈夫ですかね~。
最近、調査のお仕事が忙しそうですもんね。
あ、そういえば宮川センセーも、最近外国の意匠調査やってましたよね。 私にもやり方教えてください!
(宮川)いいわよ! 今日は「教えて!サチコ先生」ね。
響子ちゃん、日本の意匠を調査する時の、テキスト検索と日本意匠分類を使ったやり方はマスターしたわね?
じゃあ、外国調査の時はどんな情報が必要だと思う?
(響子)うーん、外国での意匠分類かなぁ~
(宮川)そうね、日本みたいに国独自の意匠分類を採用している国もあるけど、意匠にも国際分類があって、
「国際意匠分類」や「ロカルノ分類」って呼ばれていて多くの国で採用されているのよ。
響子ちゃん、「ロカルノ協定」について調べてみて。
(響子)ぽちぽちっと・・・
「ロカルノ協定」は意匠の国際分類を定めた協定で、平成26年に日本で発効しました・・・
あ、日本は最近加盟したっぽいですね。
(宮川)そう、日本は2015年5月にハーグ協定に加入して、意匠の国際登録出願ができるようになったのは知ってるわね?
それに合わせてロカルノ協定にも加入したのよ。
日本の意匠公報では、1998年4月からは、日本意匠分類と共にロカルノ分類についても参考情報として併記されてたわね。
アメリカも日本と同様に独自の意匠分類で運用しているけど、公報にはロカルノ分類が併記されているのよ。
(響子)なるほど~ ロカルノ分類って調査の時に便利そうですね!
(宮川)そうなのよ。だけど、今のところ、J-PlatPatでは、ロカルノ分類での調査はできないし、アメリカや韓国など、独自の分類を採用している国では、
ロカルノ分類だけの調査では検索漏れが出てしまう可能性があるから、やっぱりその国の分類を使って調査した方がいいわね。
特許庁のホームページでは、日本⇔韓国、日本⇔米国の意匠分類の対照表が載っているから、調査を行う時は確認しましょうね。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/isyou_bunrui.htm#rokaruno
(響子)実際のロカルノ分類ってどうなってるのかな~っと。
・・・ロカルノ分類って、32の類(クラス)と、219の小類(サブクラス)で構成されてるみたいです。
(宮川)日本の意匠分類が13のグループ、77の大分類、3196の小分類で構成されているのに比べると、分類の構成がかなり粗いわよね。
ロカルノ分類と、日本意匠分類との対照表が特許庁ホームページに出てるから見てみましょう。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/isyou_bunrui.htm#rokaruno
(響子)日本ではデザインの特徴によって細かく区分分けされている物品も、ロカルノでは全部「09-01」に入っちゃってるんですね・・・。
(宮川)そうなのよ・・・だからロカルノ分類で調査すると、ヒット件数が多いのなんのって・・・。
(響子)ですよね・・・。
(宮川)そういう時は、物品名のテキスト検索と掛け合わせて絞り込むのも手です。
調査対象の意匠に付与されている分類コードを漏れなくピックアップすること、これがきっちりできれば、仕事の半分は終わったも同然よ!
(響子)ふぅ~ 対照表を見てたら目がチカチカしてきました~ ・・・って本間先生
・・・あ、泣いてる?
(宮川)いい文献が見つかったのかしら。よかったよかった。
(響子)本間先生ファイトです~!
2016.4.132016年4月18日 新聞記事寄稿のお知らせ
(響子) 皆さ~ん。
本間先生の寄稿文が、なんとあの「日刊工業新聞」に出ま~す。
4月18日(月)の「発明の日特集」で~す。
皆さん、「日刊工業新聞」を買って見てくださ~い。
ところで先生、あの「日刊工業新聞」に先生のゆる~い文章で大丈夫ですか?
ちょっと心配だな~・・・。
2016.4.13特許調査の小ネタその2
(響子) 本間先生~! 前回の更新からまた時間がたってますよ~。
また小ネタとかないですか~?
(本間) う~ん、では小ネタ第2段を披露しよう。
今度の小ネタは、マニアックだぞ~。
Jプラの公報テキスト検索で出てきた文献の審査経過が見られないときの対処法だよ。
またまた古い文献の話だけどね。
(響子) え~。また古い文献ですか~。
ところで先生、そのかっこいいバージョンの顔、気に入っていますね。
(本間) はははっ。ちょっとね。
さて、本題に入ると、まずは毎度おなじみJプラの公報テキスト検索を開いて~。
https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action
検索項目を「発明の名称」にして、そこに「鍋」と入力しよう。
そして、古い文献に絞るために、その下の検索項目を「公開日」にして、「:19950101」と入力しよう。
あと、「種別」は「特許公報 (特公・特許(B))」だけにチェックを入れよう。
そして、「キーワードで検索」ボタンを押すと、100件以上の結果になったね。
では、「一覧表示」ボタンを押してみよう。
(響子) ちょっとややこしいけど・・・出ましたー!
古い文献だから、例えばリストの下から2番目にある「特公平06-014891」の「圧力鍋用の安全弁付き蓋」なんてどうですか~?
(本間) おっ、乗ってきたね。それでいいから「特公平06-014891」の部分をクリックしてみよう。ほ~ら、内容が出てきたね。
なんと出願人は西ドイツの会社だね。まだドイツが西ドイツと東ドイツに分かれていた時代か~。う~ん、時代の流れを感じるね~。
そこで、その画面の右上に、灰色のボタンが3つ並んでいるね。その真ん中の「経過情報」ボタンをクリックしてみよう。
(響子) へ~。ドイツって、西と東に分かれていたんですね。
おっと、話が横道にそれちゃったけど元に戻して「経過情報」ボタンをポチッとな。
・・・先生~、「指定された経過情報は存在しません。」って冷たく突き放されました~。
(本間) うん、うん。そうだろう。
では、今度は、「特公平06-014891」の「06-014891」の部分だけコピーして、ページの上の方の青色のラインの右側の「経過情報」をクリックして「3.最終処分照会」を選択しよう。
種別で「公告番号」っていうのがあるけど、そこにさっきの「06-014891」を貼り付けて、さらに一番前にアルファベットの「H」を入れてみましょう。「H06-014891」となったかな?
そこですかさず「照会」ボタンをクリックしてみよう。
(響子) あ~、情報が出ました。
(本間) まだまだ、これからだよ。その情報の中に「登録番号(1894386)」ってあるよね。その数字の部分だけコピーしよう。
この状態で、さっきの「経過情報」をクリックして「1.番号照会」を選択しよう。
左側の「種別」を「登録番号」にして、さっきの数字「1894386」を貼り付けよう。
「紹介ボタン」を押すと、あ~ら不思議。出願番号「S62-206633」の数字が青色でリンクが張ってあるよね。
(響子) この数字、クリックします!
あ~っ、出た~!。
さっきは、存在しませんなんて出てたのに、ちゃんと情報あるじゃないですか~。
(本間) ねっ。ちょっとした裏技でしょ。
めちゃめちゃマニアックな小ネタだけど、もしかしたら何かの役に立つかも。
皆さんも、暇だったら試してみてね。
(響子) 皆さんはお忙しいでしょうから、気分転換用の小ネタとして使ってください~。
また来週~!
先生、来週もブログアップしてね!
2016.3.4特許調査の小ネタその1
(響子) 本間先生~!最近ブログごぶさたしてますね~。
もう少しこまめに更新して下さいよ~。
(本間) ・・・何かな?私は日々の業務で忙しいんだ。
インタビューなら後にしてくれ。
(響子) 先生、ふざけないで下さい!
本間先生まで顔変わっちゃったんですか?
どうでもいいですけど、忙しいんなら、小ネタでもいいので何か出して下さい!
(本間) 小ネタね~。じゃあ、ちょっとした小ネタを一つ。
特許調査のテキスト検索で、Jプラ(特許情報プラットフォーム)では見つけられない範囲まで検索する裏技を教えよう。
(響子) え~?? どういうことですか?
(本間) Jプラの「特許・実用新案テキスト検索」って、キーワードで簡単に検索できるツールだけど、検索可能範囲が決まっているんだ。
特許公開で平成5年から、実用新案の公開は昭和61年からというように、それより古い文献をテキスト検索で検索することはできないんだ。
特許になったものや、昔の実用新案登録なんかはもっと古い文献まで検索できるけどね。
なので、例えば昭和60年に公開された実用新案で、登録になっていないものはテキスト検索では検索できないんだ。
(響子) へ~。
でも、あんまり古い文献って、必要ないんじゃないですか?
(本間) いやいや、特許調査では、意外と古い文献が引例になったり、
無効資料になったりするので、侮れないぞ。
(響子) わかりました。
・・・で、どうやって検索するんですか?
まさか!、特許庁をハッキングするとか?
(本間) そんなわけないでしょ!
ウルトラパテントっていう商用データベースを使うのさ!
(https://www.ultra-patent.jp/Search/Workboard)
(響子) 先生~。顔が元に戻ってます~。
ところで、商用データベースって、いきなり費用が発生しちゃうじゃないですか!
それって、反則です~。
(本間) いやいや、無料会員なんてのもあるし、検索して検索結果を出すまでなら登録しなくてもできるんだ。
以下のURLで、無料会員でできる範囲が記載してあるので参考にしてね。
(http://www.ultra-patent.jp/Support/Help/SubscriptionDetails)
(響子) へ~そうなんですか。じゃあ、何か検索してみたいな~。
(本間) じゃあ、ウルトラパテントの「アドバンス検索」っていうところをクリックして、「複合検索」のタブをクリックしてみよう。
その画面で、「発明の名称+要約+請求の範囲」っていう項目があるので、その横の細長い枠の中にキーワードを入れてみよう。
今年は、オリンピックイヤーなので、「聖火ランナー」って入れてみようか。
(響子) ???聖火ランナーですか???
何で?
(本間) まあまあ、とりあえず入れてみてよ。
そうそう、公報の種類のところで「□全選択」ってなっているところにチェックを入れようね。
その下の方の「公開・登録の重複検索除去」っていうところにチェックを入れると、文字通り同じ出願の公開と登録の公報の重複を除去してくれるんだ。
(響子) ・・・え~っと、「□全選択」と「□公開・登録の重複検索除去」をチェックして、入力エリアに「聖火ランナー」って入力して、検索ボタンをポチッ!
あっ! 1件出ました。実用新案。
番号が出ているから、この番号をJプラに入力すれば、公報は見られますね。
ウルトラパテントの無料会員に登録すれば、PDFでも見られるみたい。
ちなみに、Jプラで同じように検索しても、検索結果は0件です~。
で、どんな公報かって見てみたら、先生、これ、何ですか?(汗)
ほんとに聖火ランナーですよ。これって発明になるんですか?
しかも、手書きの出願なんて初めて見ました!
(本間) 正確に言うと、実用新案だから「考案」だよね。
残念ながらこちらの出願は、実用新案法の保護対象である「考案」にならないね。
それに、今でこそ実用新案登録出願は無審査で登録されるようになっているけど、昭和60年当時はまだ特許と同じように審査請求して審査をパスしたものしか登録にならなかったんだよ。
この出願は、審査請求せずに見なし取り下げになっているけど、審査請求をしても登録にはならなかったろうね。
ちなみに、今も昔も、手書きでもきれいに書けば出願OKだよ。
(響子) え~!! そうなんですか~?
先生、ところで、検索式に「聖火ランナー」って入れたら、この公報が出てくることを知ってたみたいな感じですけど・・・。
(本間) 鋭いな、響子ちゃん。
実は、これ、昔私が手めくりで公報を検索していたときに見たおもしろ公報だったんだよ。
当時は手めくりの調査をする人は「めくり屋」なんて呼ばれていたね。
(響子) ・・・先生、いつの時代の人ですか?
まあ、さすが「パテントサーチマイスター」っていうところですか。
ところで、何か今回はウルトラパテントの宣伝みたいになってますけど、ウルトラパテントからいくらかもらってるんですか?
(本間) いやいや、そんなことはないよ。まあ、実際ウルトラパテントのユーザー(有料)ではあるけどね。
でも、このブログを見たウルトラパテントの人から何かもらえたりして・・・。
それとも、使用料免除してくれるかも・・・。
(響子)・・・先生・・・。
2016.1.10事務所の紹介
(宮川)みなさま、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
(響子)明けましておめでとうございま・・・って、一体どうしたんですか!!??
一体イラストレーターさんにどれだけ積ん・・・
いえ、まるでベ○サイユの○ラみたいにお美しいですね!!
(宮川)・・・何か前半言いかけたわね。
まあいいわ、気を取り直して。今のが本当の私だけど、
あまりに美しすぎるのも困るから、普段はこの顔でいくわね。
(響子)ところで、IP-FOCUSメンバー、増えましたよね!
ではここで、新春スペシャル!メンバー紹介いっちゃいます!
島田先生は、上海で4年間、中国知財・調査、中国法務を
やっていたそうです。
最近は鑑定とか訴訟も増えているし、弁護士さんが常駐していると、
心強いですね!
そういえば、先月は島田・宮川コンビで中国出張でしたよね。
いいなぁ~小龍包、私も食べたい~~
(宮川)ちょっと響子ちゃん、遊びに行ってるんじゃないのよ!
響子ちゃん、IP-FOCUSのHPに、『中国事業』っていうサービスメニューがあるでしょ?
今回は、島田先生と一緒に上海の日系企業を訪問して、中国での模倣品対策や、権利行使を視野に入れた権利取得の方法について、色々とディスカッションしてきたのよ。
それから、今、中国に特許とノウハウをまとめて移転したいっていうご依頼もいただいていて、その提携先企業のリサーチもやってきたわよ。
(響子)そ、そうだったんですね・・・。そういえば、島田先生と宮川先生は、中国でずっと働いてたんですもんね。
(宮川)そうなのよ。だから中国出張も特に不自由はないんだけど、中国に行くと色々と腹立つこと多いわよ。昔、本間先生と上海出張に行った時に、私がタクシーの運転手にキレて中国語で文句言ったら、本間先生がドン引きしてたわ(笑)
(響子)キレてるのはいつものことのような気が・・・
(宮川)ま、ともかく、お客様の大切な財産をお預かりしているわけだから、日中ビジネスが成功するように、今年は特に中国事業を一生懸命頑張るわ!
響子ちゃん教育もビシビシやるわよ!
(響子)はいっ 先生!
さて次回は、本間先生もリニューアルして登場です。お楽しみに!
2015.9.1第8回 意匠調査その5
(響子)今回は意匠公報テキスト検索で「スクリーニング」をしま~す。
「スクリーニング」って、辞書でみてみたら「ふるいわけ」って書いてあったんですけど、
検索式で抽出された母集団の公報を見て、いるものといらないものを分けるって言う意味ですよね。
(宮川)響子ちゃん、説明的なセリフどうも有り難う。響子ちゃんの言う通りよ。
じゃあ、前回(ブログ第6回)の続きで、以下の表の分類を見てみましょう。
(響子)では、Jプラの「日本意匠分類・Dターム検索」に意匠分類を入力しましょう。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/ishou/isdt/ISDT_GM201_Top.action
この「日本意匠分類・Dターム検索」画面の「検索式」に「H7-792」と入力します。検索ボタンをポチッ!。
宮川先生~!。「検索式」についてはフォーマットエラー。って赤文字が出ました~。
え~っ!なんで~???。
(宮川)う~ん。これってミステリーよね。
ここでの入力は、前のIPDLの時代からハイフンを除いて入力しなきゃいけないのよね~。ちょっとやってみて。
(響子)は~い。「H7792」って入力して、検索ボタンをポチッ!。
今度は出ました~!!
では、「一覧表」示ボタンをポチッ!。
すご~い!。スマホケースがいっぱい~!!。あっ、これかわい~!!。これもすてき!!。
(宮川)・・・響子ちゃん、ちゃんと調査対象のケースの形状を頭に入れてスクリーニングするのよ。
(響子)この形状ですね。大丈夫です!
こっちの分類も、それと旧分類も見て・・・。
あれ~? 検索結果一覧の画像がある時点から見にくいんですけど~。
(宮川)それはまだ電子化されていない時代の公報ね。紙の公報をイメージデータにしてデータベースに保存してあるの。その当時は通信環境もわるかったから、データ量を抑えるためにわりと粗い画像になっているのよ。
検索結果一覧で判断できないときは、ちゃんとその公報番号をクリックして内容を確認してね。
(響子)わかりました。
ところで、今見ている公報は昭和の時代の公報ですけど、平成生まれの私にとってはもう歴史上の文献ですね~。
(宮川)響子ちゃん。今回の意匠調査って、何が目的かわかってる?
(響子)意匠調査の目的ですか?
このスマホケースと似ている意匠公報があるかないか探すことですよね。
(宮川)ブログの第3回(意匠調査その1)で、「意匠調査も、特許調査と同様に、侵害予防調査、登録無効調査、先行意匠調査という種類があります。」と説明したでしょ。
今回は、何の調査?
(響子)・・・・・済みません、認識してませんでした。
(宮川)仮に侵害予防調査だったとして、昭和の文献って、見る意味ある?
(響子)え~っと、意匠権の存続期間って、20年だから~、20年以上前の文献は見る必要がなくて~と考えると・・・、見る意味ないですね。
ということは、「日本意匠分類・Dターム検索」の画面の下の方にある「検索オプション(範囲指定)」っていうところで、登録日の下限値に20年前の日にちを入力すればいいんですね。
(宮川)今は15年前の日にちを入れればOKよ。
意匠権の存続期間が20年になったのは、平成19(2007)年4月1日以降に出願されたものなので、それ以前に出願された意匠の意匠権は15年なのよ。
だから、15年以上見なきゃ行けなくなるのは平成34(2022)年4月以降よ。
(響子)は~い。了解です。
(宮川)ところで、登録無効調査や先行意匠調査の場合、特に15年に区切って調査をする必要はないし、区切っちゃうと調査漏れが出ちゃうわね。
でも、先行意匠調査の場合、調査依頼者(クライアント)の予算の関係もあるので、件数を調整するために範囲を区切ることはあるわね。
(響子)ところで宮川先生、スクリーニングをしていると、たまに似てるか似ていないか微妙なものが見つかるんですが、その場合どうすればいいですか?
(宮川)響子ちゃんは意匠の類否をきっちり判断できる?
できるんであれば、その場で判断して非類似のものはピックアップしなくてもいいわよ。
自信がないのであれば、ちょっとでも似ているかもしれないと思ったものはとりあえずピックアップしておいて、後で類否判断ができる人に判断してもらうといいわ。
(響子)意匠の類否判断か~。自信ないです。
(宮川)意地悪な質問をしてごめんね。
意匠の類否判断って、実は専門家でも難しいのよ。
ざっくり言うと、対比すべき2つの意匠があったら、よっぽどそっくりじゃない限りそれだけ見ても類否判断はできないわ。
それらの対比すべき意匠の先行意匠にどのような意匠があるか、その先行意匠と比較してどこが特徴的かを分析して、その上での判断になるわね。
だから、意匠調査のスクリーニングで肝心なのは「素人目に見て似てると思ったら迷わずピックアップ」することね。
(響子)「素人目」でいいんですね。
それなら私にもできます!
がんばります。
(宮川)ということで、意匠調査については、まずはこんなところですかね。
ね、最近ブログの更新もサボり気味の本間先生。
(本間)・・・はっはい。そうですね。
次回からまた特許調査についての記事や、事務所の近況などについてブログを更新したいと思います。
2015.7.27第7回 新刊のお知らせ
(響子)みなさ~ん!! 耳寄りなお知らせで~す。
うちの事務所の本間先生と宮川先生が書いた本が出ました~!
「事業をサポートする知的財産実務マニュアル」っていいます!
本間先生は特許調査とパテントマップによる解析の部分を担当しました。
宮川先生は知財活動計画と意匠の部分を担当しました。
他にも、実務経験が豊富な専門家の先生が参加してとても内容が充実しています。
この本は、新人知財部員の「是橋キョウコ」ちゃんの一年間を通じて、商品開発の課程で必要となる知財実務をわかりやすく解説したものとなっています。
キョウコって、私と名前が同じ~! しかも(私程じゃないけど)かわい~!
中身もマンガや図がいっぱいあって、知財初心者の私でも読みやすいです。
それでいて内容はかなり高度な(マニアックな?)内容になっていて、初心者から実務者までとっても役に立つと思いま~す。
本間センセ~、特許調査のところ、とってもいいですね。
宮川センセ~、意匠のパートもすっごくわかりやすいです。
皆さんも是非お手にとってその良さを実感して下さい。
このホームページのお問い合わせフォームから注文してもらえば1割引で提供いたしま~す。
送料は1冊当たり180円です。
よろしくね!
2015.7.27第6回 意匠調査その4
(響子)今回は意匠公報テキスト検索の使い方を宮川先生に教えていただきま~す。
前回はスマートフォンケースの意匠分類を調べるために意匠公報テキスト検索を利用するっということでしたね。
(宮川)まずは、物品名のキーワードを考えます。「スマートフォン」は、「携帯電話」や「携帯端末」と呼ばれることもあるわね。「スマートホン」なんて記載されているかもしれないわね。
それと、「ケース」の方は「カバー」と記載されているかもしれないわね。
つまり、探そうとしている物品名の同義語、類義語や上位概念的な言い換えを考えてキーワードを決めるのね。
この同じ概念の言葉を意匠公報テキスト検索の「検索キーワード」の欄に記入します。
そのとき、各キーワードはスペースで区切るのよ。
響子ちゃん、やってみて。
(響子)は~い!
キーボードをぽちぽちぽちっと・・・、宮川先生~、検索項目はどうすればいいですか?
(宮川)今は「意匠に係る物品」の名称をキーワード検索しようとしてるでしょ。
意匠公報テキスト検索の画面では、まず上下2段にキーワードが入れられるようになっていて、検索項目は「意匠に係る物品」と「(現行)意匠分類・Dターム」となっているわね。この「(現行)意匠分類・Dターム」のところをクリックして、メニューの一番上の「意匠に係る物品」を選択します。
これで、上下2段とも「意匠に係る物品」になったわね。
(響子)では、上の段に「スマートフォン 携帯電話 携帯端末 スマートホン」って入力します。下の段に「ケース カバー」って入力します。
入力欄の右側に「検索方式」ってあるけど、これは「OR」のままでOKですね。
この状態で「検索」ボタンをクリック!
わ~っ!300件以上ヒットしました! 結構多くないですか?
(宮川)まあ、通常は100件以下に抑えたいけど、300件ぐらいならぱぱっと見ちゃった方が早いかもよ。それに、分類がわかればいいので全部見ることもないし。
(響子)わかりました。がんばります。
で、Jプラのトップページで見たときは、「H7-792」でしたよね。
ヒットした案件を順番に見ていくと・・・「H7-792」だけじゃなくて「H74390」もありました。
それと、「H2-2120」と「B4-18」っていうのもありました。
へ~、同じスマホケースなのに分類が複数ついているんですね。
でも、各登録意匠には1つの分類しかついていないんですね。
(宮川)あら、いいところに気がついたわね。
日本の意匠出願では、1出願に付き1つの意匠分類をつけるようにしているのよ。
でも、複数の人が分類をつけるから、同じスマホケースでも異なった分類が付与されることがあるわ。
だから、テキスト検索で1つの分類を見つけても、それだけで終わらずに他にないか探すことが重要ね。
さてと、今回見つかった意匠分類がどんな分類か確認してみましょう。
Jプラのトップページで、上の方の青いラインの「意匠」というところに、カーソルを合わせてみて、「8.分類リスト(特許庁HPへ)」っていうところをクリックしてみて。
「表1日本意匠分類表」と「表2日本意匠分類 分類定義カード一覧」があるでしょ。
念のため周りの分類を広く見たいときは「表1」を見てね。
ピンポイントでその分類を見たいときは「表2」を見てね。
(響子)わかりました。
では、「H7-792」を「表1」で見てみます。
H7-792 電子計算機等付属品 ·······携帯情報端末用スタンド,電子計算機用充電及び接続機
へ~、「H7-792」って、付属品の分類なんですね。
旧分類は「H5-900,H5-920」ってなってますね。
・・・旧分類って何ですか?
(宮川)意匠分類は2005年より前に出願されたものに旧分類がついていて、それ以降は新分類になっているのよ。
2005年って、今から10年前で、その頃の意匠権の存続期間が登録日から15年なので、旧分類の意匠権もまだ存続しているわね。だから、新分類だけでなく旧分類も見なきゃいけないわね。
(響子)「表2」も見てみましょう。
こっちの表2の方が具体例もあってわかりやすいですね。
この表で意匠分類を理解すれば調査もしやすいですね。
「H74390」と「H2-2120」と「B4-18」も見ちゃいますね。
う~ん、「H2-2120」は充電器なので、今回は関係ないかな~。
ということで、今回の意匠分類は「H7-792」と「H74390」と「B4-18」ですね。それぞれの旧分類もピックアップしま~す。
ところで、宮川先生。表1はH7を見たいのにH0から見なきゃ行けなくて大変だし、表2の方もH7-792を見たいのにH7から見なきゃいけないので、正直見にくいですね。
(宮川)そうね。ちょっと前の特許電子図書館(IPDL)のときは、直接見たいところにアクセスできたのに、Jプラになってからアクセスしにくくなったわね。この辺はINPITさんに改善してもらいたいわね。
(響子)(宮川)INPITさん、よろしくお願いします。
(響子)ふ~っ! 宮川先生~エネルギーが切れちゃいました~。
お茶しましょっ!
(宮川)響子ちゃん、何甘ったれてるの?
まあいいか。じゃあ、スクリーニングは次回ね。
ところで、最近本間先生が出てこないわね。次回からこのブログ「教えて宮川先生!」に替えちゃおうかな~。
2015.7.5第5回 意匠調査その3
(響子)今日は前回の続きで意匠調査の「プロの技」を宮川先生から伝授してもらいま~す。
(宮川)わかったわ。じゃあ始めるわね。響子ちゃん、「意匠調査に必要な情報」って何?
(響子)え~とっ、調査をしようとする物の形状と、・・・意匠分類です!
(宮川)正解!。 で、前回は意匠分類の検索をしようとして、Jプラの初期画面からキーワードで検索したのよね。うまくできた?
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
(響子)・・・はい。何とか。(汗)
(宮川)Jプラの初期画面のいいところは、意匠に係る物品(物品の名称)と意匠に係る物品の説明の両方の項目を一度に検索できるところね。
でも、「キーワードを入れるエリアが1カ所」で、「OR」検索か、「AND」検索しかできないよね。
ちなみに、わかっているとは思うけど、「OR」検索と「AND」の違いはこんな感じよ。「OR」検索はスマートフォンとケースのどちらかが含まれていればヒットするし、「AND」検索はスマートフォンとケースのどちらも含まれているものがヒットするのね。
(響子)・・・それぐらいはわかってます~。(あ~、それで前回の検索では「OR」で1万件以上出て、「AND」検索で50件以下だったんだ~。)
(宮川)じゃあ、キーワードを入れるエリアが1カ所だと困ることって何かな?
(響子)・・・特に困らないと思いますけど・・・。
(宮川)じゃあ、スマートフォンって、もっと堅苦しく言うと何かな?
ヒントは漢字四文字よ。
(響子)漢字四文字か~。わかった、「須磨戸本」!
(宮川)・・・響子ちゃん・・・「夜露死苦(ヨロシク)」じゃないんだから~。「携帯電話」よ。
(響子)え~っ!。携帯電話って、ガラケーじゃないんですか?
(宮川)スマホって、携帯できる電話でしょ。だからスマホもガラケーも携帯電話なのよ。ちょっと難しく言うと、「携帯電話」って、スマートフォンの「上位概念」なのよ。
(響子)さっすが宮川先生! 弁理士だけあって難しい言葉知ってますね。
(宮川)お世辞なんて言ってもダメよ!
じゃあ、Jプラの初期画面で、携帯電話ケースとスマートフォンケースを探すときはどうすればいい?
携帯電話用ケース、スマートフォン用ケースっていうのも含まれていないとダメよ。
それと、本の場合はブックカバーなんて言うわね。スマホの場合もスマートフォンカバーなんていうかもしれないわよ。これらを検索するにはどうすればいい?
(響子)・・・困ります、困ります。初期画面だと難しいです。
(宮川)そうね。思いつくものを片っ端から「OR」検索すればできるけど、思いもよらない名称があったりすると漏れたりするわね。
だから、「意匠公報テキスト検索」を使うのよ!
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/ishou/iskt/ISKT_GM201_Top.action
この意匠公報テキスト検索では、検索項目を選べるし、キーワードを入れるエリアも複数にできるわ。
じゃあ、響子ちゃん、さっきのキーワードを意匠公報テキスト検索に入れて検索してみて。
(響子)はい。わかりました。・・・を入力してっと、「検索」ボタンをポチッ。一覧で見てみると・・・あっ!
(宮川)響子ちゃん、どうだった?
(響子)なんとっ! 前回では見なかったこんな分類が・・・・。
次号につづく!
次号では、意匠公報テキスト検索の入力例と、検索結果、それに調査すべき意匠分類について説明しちゃいま~す!
(宮川)勝手に締めないでっ!
最近のコメント